【2023年9月】ROUTE BIKE & TOURS の新プラン〈シーボルトボタニカルサイクリングジャーニー〉に参加してきました!

カフェと宿 ROUTE

長崎県長崎市でゲストハウスとカフェ、レンタル自転車業を営むカフェと宿 ROUTE。
2023年8月よりスタートしたROUTEの新レンタサイクルプラン〈シーボルトボタニカルサイクリングジャーニー〉に参加してきました。シーボルトが魅了された奥深い日本の植物たちを再発見する体験記、ぜひご覧ください。

ROUTE BIKE & TOURS の新プラン〈シーボルトボタニカルサイクリングジャーニー〉って?

日本の植物や四季をテーマに組まれたこちらのプラン。
博物学者だったシーボルトにとっても、当時のヨーロッパの方々にとっても未知の国だった日本(ジャポン)。我々日本人にとってはなじみ深い植物や季節ごとの移ろいも、外国から来たシーボルトの目にはいかに新鮮に映ったのでしょうか。そんなシーボルトの足跡を辿り、現代に生きるわたしたちもシーボルトの驚きと感動を追体験するというのがプランコンセプト。取材班の約1名(筆者)は植物だいすき! さっそく前のめり! 興味津々です!

日本に絶大な影響を与えたシーボルトって?

今回、ツアー前に特別にROUTEの代表〈岸川さん〉とプラン発起人・ROUTEスタッフでもある〈みわさん〉が、シーボルトについてお話をしてくれました。
シーボルトというと、やはり一番有名なのは〈シーボルト事件〉でしょうか。

シーボルト事件とは

シーボルトが帰国の際、当時国外持ち出しを禁止されていて日本地図などを所持していたことに端を発した事件。シーボルトはこれで国外追放、国内の弟子たちも処罰を受けた。

「国外追放になったのに、シーボルトっていまも愛されているでしょ」と岸川さん。博物学者のシーボルトが世界に向けて日本の情報を発信してくれたことが、幕末の開国にも、そして現在の国交にも影響を与えているのだそうです。長崎にとってはもちろん、日本にとっても欠かせない人物、シーボルト。

シーボルト記念館のシーボルト像

そんなシーボルトの来日から、今年(2023年)はちょうど200周年。
長崎市内各所でも関連イベントが多数開催されており、このツアーもそれ(200周年)をきっかけに始められたそうです。「200周年をきっかけに始めましたが、来年以降も広く、そして季節問わずみなさんに楽しんでもらいたいですね」と岸川さんとみわさんが思いを語ってくださいました。

いよいよシーボルトツアー・スタート!

一階のガレージでツアーの相棒となる電動自転車をチョイス!
ROUTEのレンタサイクルは、電動自転車が豊富に取り揃えられているので、坂の多い長崎の町もスイスイと楽しめます。

〈 お立ち寄りスポット① 〉 シーボルト記念館

自転車を決めたらさっそくツアーにスタート!まずはフライヤーの裏に記されているとおり〈シーボルト記念館〉を目指します!

チャリチャリっとシーボルト記念館に向かう途中、中島川沿いの立派な松の木が目に入ってきました。いつもなら気にも留めず通り過ぎてしまっていた街中の植物が気になりはじめたら、そのときが身も心もこのプランの招待状を受け取ったってことかも^^

ワクワクする気持ちをペダルにぐっと込めて。意気揚々と自転車を走らせ、鳴滝にやってきました。

オレンジ色の外壁が目立つ洋館がシーボルト記念館です。
ここは当時シーボルトが弟子たちを教えていた私塾〈鳴滝塾〉の跡地なんです。当時ここを拠点に、弟子たちに市中の植物採集を命じていたのだとか。まさにこのツアーのはじめにふさわしいスポット!

シーボルト記念館では、シーボルトの生涯に加え、長崎に到着した際の日本と世界の情勢、日本での暮らし、医師としての診療記録、シーボルト事件、その後の再来日、生涯を通じての日本とのかかわり、ヨーロッパで発売した日本誌についてなど、多岐にわたる展示を見ることができます。西洋医学の医師でもあったシーボルトですが、日本で書いた処方箋にはなんと〈梅干し〉の記述が。日本の風俗や民俗学、植物学、東洋医学にも通じていたシーボルトの博識ぶりがよく分かります。

記念館のお庭も、このツアーではもちろん要チェック。このお庭では当時もシーボルトが集めた薬草などが栽培されていたそうです。

ここで、観察にちょうどよさそうな木を発見!
この木、なぜか枯れています…。

枝先にはカサカサの赤茶色の葉っぱと、紫に茶色を混ぜたような色の実。

でも見てください!新芽も出てきていますよ。

黄緑色のみずみずしい新芽は、虫眼鏡で見ると縁がギザギザになっていますね。

そして木肌はまだらに剥がれて模様ができています。

シーボルト植物誌でも植物アプリでも、残念ながらこの木の名前はわかりませんでしたが……涙
ひとつの植物でも、枯れ葉と新芽ではぜんぜん違い、木肌や実なども観察してみるとより一層興味深いことに気づきました。日本に来たシーボルトもこうしてひとつの植物をじっくり観察して、日本の気候や人々の情緒について理解を深めたのかもしれません。

シーボルト記念館

入館料 100円
開館時間 9時から17時(最終入館は16時半)
休館日 月曜、年末年始

〈 お立ち寄りスポット② 〉 シーボルト通り

さて、シーボルト記念館でじっくり鑑賞していたら、もう時間はお昼を回るころ。
〈シーボルト通り〉へ行ってみましょう。シーボルト記念館から新大工町商店街までつながる道をシーボルト通りといい、ここには地域に根差した昔ながらのあたたかい商店がたくさん。

チャリチャリっと走るうちにあっという間にお昼のフルコース完成しました! あれもこれもと欲張ってしまったらボリューム満点のお昼ごはんです。

ラインナップ

チエノワ スパイスカレー(ポークビンダルー)__800円
ハヤシダ精肉店 からあげ__195円 / 100g
いしだや万寿庵 わらび餅とおはぎ__わらび餅 / 350円、おはぎ / 300円

“花も団子も”しっかり楽しめるのが、このツアーの醍醐味!
どれもとってもおいしくて、午後からの英気を養えました。

食事中も植え込みの植物がついつい気になってしまうのは、このツアー中だからでしょうか^^

通りに置かれたシーボルトの頭文字Sのイスにも注目!

チエノワ

現在おもに間借り営業やイベント出店をメインに活動する本格カレー屋さん。月に二回ほどシーボルト通り沿い(桜馬場)でテイクアウト出店あり。

出店場所 桜馬場1丁目12-26
営業時間 11時から14時
出店日 instagram @chienowa_nagasaki の営業スケジュールを要チェック

ハヤシダ精肉店

和牛専門店と銘打っているだけあって質の良い和牛がお手頃価格で並ぶ。コロッケやからあげなどお惣菜も充実。

場所 新大工町6-24 三根ビル1F
営業時間 9時から18時半
定休日 日曜

いしだや万寿庵

創業明治10年(なんとシーボルト再来日の18年後!)の老舗和菓子屋さん。残念ながら建物老朽化に伴い今年(2023年)いっぱいでの廃業が決まっているそう。涙

場所 桜馬場2丁目4-10
営業時間 9時半から17時
定休日 日曜

※新大工商店街内は自転車の乗入れ禁止のため、下りて押しながら通行しましょう。

〈 お立ち寄りスポット③ 〉 中島川沿いの見逃せないスポット

おいしいランチでエネルギーを補給したら、次へ自転車を走らせます。
次の目的地、シーボルトの娘・楠本イネさんのお墓へ向かう途中も見逃せないスポットが数々。

川沿いに植えられたお花の秋らしい色合いとボリューム感。思わず自転車を停めてしまいました。地域の方が育てているのだそうです。水やり用のホースを地面に這わせていて、細やかなお世話が目に浮かびます。

そして、もうひとつ出発前に岸川さんが教えてくれたおすすめスポットがこちら。
個人のお宅の立派な桜の木です。
注目はこの塀。桜の成長をはばまないよう、そこだけくり抜かれているんです。そのおかげでできた枝ぶりのうつくしいこと。春はもちろん一年中、街の人や、虫・鳥たちにとって欠かせない存在になっているでしょうね。街の緑をつくり上げるのは、街の人ひとりひとりのささやかで健気な営みによるのだと感動すら覚えます。

つづいて、中通商店街の和菓子屋さんの店先にザボンの木が。おもしろいハート型をしていますね。

こちらのお店はザボン漬けの名店〈くろせ弘風堂〉。
ザボン漬けとは、長崎カステラと並び二代銘菓と言われる伝統菓子。ザボンの皮をシロップ漬けにして乾燥させたもので、味わいはゼリーや羊羹のよう。お茶請けとして好まれる長崎の味です。

くろせ弘風堂のザボン漬け

1700年代にはザボンが長崎に伝来していたとのことで、もしかするとシーボルトも食べていた(!?)のかもしれませんね。お店の方のザボン談議もとても勉強になったので、ぜひ購入がてら訪れてみて。

SPOT

中島川沿いの植え込み 中島天満宮神社近く
桜のためくりぬかれた塀 桃渓橋と大井手橋のあいだ

くろせ弘風堂

中通商店街内にある創業100年以上の老舗和菓子屋さん。ザボン漬けは量り売りでくし型ひとつ600円程度。

場所 諏訪町8-4
営業時間 9時半から19時
定休日 なし

※中通商店街内は自転車の乗入れ禁止のため、下りて押しながら通行しましょう。

〈 お立ち寄りスポット④ 〉 楠本イネさんのお墓参りへ

さて、シーボルトの娘〈楠本イネのお墓〉へ。
イネさんのお墓は〈ヘイフリ坂(幣振坂)〉を登ったところにあります。

この坂、かなりの急勾配ですが電動自転車なら楽々!
さすがに最後は一踏ん張りが必要ですが、えいっとペダルに力を込めて。

自転車を停めたらここから先は階段。
なんとこの階段「150段」もあります! 途中の植物も観察しつつ、楽しみながら上りましょう。

あ!この実、さっきシーボルト記念館にもありましたね!

木にはたわわなキノコ!

ぜえぜえ言いながら上り、ようやく150段。振り返ると、木々の隙間から長崎の街が!

あっという間にこんなに高い場所までやってきました。

日本初の女性産婦人科医として活躍したイネさん。

ここからイネさんは長崎の街をどう見ているのかな。
お墓にもしっかり手を合わせてきました。

〈 お立ち寄りスポット⑤ 〉 めがね橋周辺で植物観察

長崎の観光スポットとして有名なめがね橋の周辺にも植物がたくさん。 たとえば、この柳の木。中島川沿いには多く植えられています。シーボルトもモチーフとして多くの図版を描かせた柳。改めて見ると、いかに日本らしい風情のある植物かよくわかりますね。

〈シーボルトの桜〉と名付けられた桜の木もあります。当時シーボルトがヨーロッパに紹介し、ブームを巻き起こしたと言われる桜。140年の時を経て、ヨーロッパから里帰りしたんだそうですよ。

〈 お立ち寄りスポット⑥ 〉 出島のボタニカルガーデン

モデルコース最後にやってきたのは出島の〈ボタニカルガーデン〉。出島橋のたもとにあります。ちいさなガーデンですが、シーボルトゆかりの植物が。元々はヨーロッパ原産のクローバー(シロツメクサ)です。当時干し草にして、オランダ船の積荷緩衝材で用いていたのだそう。

こちらはイソギク。すこしシャビーシックな葉の質感がとてもすてきです。 非常に日本的なうつくしさがあることにも気づかされます。さて、もうすぐこのツアーも終わり。ROUTEに戻りましょう。

〈 お立ち寄りスポット⑦ 〉 ROUTEでブレイクタイム

ROUTEに戻ると、岸川さんが『どうでしたか』とにこやかに出迎えてくれました。植物の写真を見ながらみんなでワイワイ話していると、ドリンクが。

左がノンアル緑茶モヒート、右がオリジナルシロップのジンジャーエールです。
薬草にも造詣の深いシーボルトをイメージさせる、爽やかなドリンク。体験日はまだまだ日差しが暑い日だったので、冷たいドリンクが沁みわたりました。ドリンクは、季節ごとにさまざまなものを提供する予定だそうですよ。

さらに、ツアーで撮影した植物の写真をSNSにアップで、シーボルト日本植物誌のイラストポストカードももらえます。

わたしもアップしていただいてきました!ビワとレンギョウのポストカードです。シーボルトのお抱え絵師・川原慶賀の繊細で的確な絵柄にもうっとり。

〈シーボルトボタニカルツアー〉に参加して

シーボルト記念館庭にあったハマボウの実

博物学者シーボルトが魅了された日本の植物。
いつもは何気なく過ぎてしまっているそれらをひとつずつ観察しながら街を回ると、現代のわたしたちもその魅力を再発見することができました。
たおやかに美しくたたずむ木々、けなげで気丈な花々。きびしくも豊かな四季がそれら日本の植物を育んできたこと。
そして、日本人の心にも自然に対する哲学や尊敬の念を芽生えさせたこと。

中島川沿いに咲いていた芙蓉の花

長崎という自然と都市がコンパクトに交差する街だからこその体験。あらためて日本人でよかった、長崎に住んでいてよかったと思える体験でした。観光客の方も、地元の方も、ぜひ体験してみてください。お子さま連れの方なんかもきっと楽しいと思います。

ツアー概要

シーボルトボタニカルツアー概要

STEP1 カフェと宿 ROUTEにて電動自転車&シーボルト日本植物誌&虫眼鏡をレンタル
STEP2 フライヤー裏のモデルコースを参考に街を散策
…シーボルト記念館
…シーボルト通りで食べ歩き
…楠本イネさんのお墓参り(★絶景スポット)
STEP3 カフェと宿 ROUTEに戻りオリジナルドリンクでブレイクタイム
STEP4 写真をSNSにアップでポストカードも

今回訪れたスポット

体験料金・営業時間

レンタサイクル料(保険料込)のみ
電動自転車1日レンタル: 2,800円~(車種により金額異なります)
予約: 要(tel / 070-8343-1235)
OPEN: 9:00-18:00  CLOSED: 不定休

ROUTE BIKE & TOURS   |   

サイクリング体験日: 2023年9月
文: カマサキココロ〈 STUDIO346 〉
Photo: JUN KAMASAKI 〈 STUDIO346 〉

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